ぐっすり眠ってからの目覚め。
隣りの部屋の祭壇を見て、父がもう居ない事をあたらめて思う。
ろうそくをともし、線香を立て、朝の挨拶。
九時過ぎたころに来客。
ご近所の人とかが焼香に来てくれた。
姉と父との思い出を語り合う。
繰り返し聞く、父のこの数年の様子。
姉は振り返るように何度も何度も話をする。
私はそれを知らない。
一番身近だった姉は、どんな思いで話していたのだろう。
お客が帰ってから、ふたりであれこれと片付け物。
あっという間に時間が経つ。
やることはもう無いから帰っていいと、姉は言う。
ひとりで大丈夫?と、最後まで訊けなかった。
ひとりで父の世話をして、結果最期を看取ってしまった姉。
言葉をかけることもできない、非力な我が身。
親戚が揃って口にした「帰ってこないのか」と。
あの家にひとりで住む姉を考えると、実家に帰るのもありだと思う。
もうたった二人の家族になってしまったのだから。
お互いにもう若くない。そして独り身。
なにがあるかはわからないし、何かあってからじゃ遅すぎる。
今回の父のように。
自由に自分勝手生きてきたつけか回ってきてる。
姉ちゃん、ごめん。